不労所得の種類を、仕組みで4つに分ける|元手と手間から見た選び方

机の上に鍵・書類・ノート・鉢植えが等間隔に並べられている

「不労所得の種類」で調べると、手段の名前がずらりと並んだ一覧が出てきます。ただ、名前を並べた一覧は、選ぶときにあまり役に立ちません。名前が違っても、お金が入ってくるしくみが同じものは、同じ性質を持ちます。性質が同じなら、必要な元手も、かかる手間も、税の扱いも似ます。

この記事では、手段の名前ではなくしくみで4つに分けます。そのうえで、それぞれに何が要るのかを並べ、最後に選ぶ順番を示します。

こんな方にオススメ

  • ●手段の名前が並んだ一覧を見たが、どれを選べばよいか決まらない
  • ●自分が出せるもの(資金・時間・手間)から考えたい
  • ●種類ごとに、税の扱いがどう変わるのかも知っておきたい

この記事を読むと…

  • ●名前ではなく、お金が入るしくみで4つに整理できる
  • ●元手と手間の2軸で、自分の候補が2つまで絞れる
  • ●賃貸型民泊が、そのうちどこに入るのかが分かる
目次

しくみで分けると、4つになる

お金が入るしくみで分けると、4つになる1① 貸す場所や物を使わせる2② 資産から配当や利息が支払われる3③ 作る使われるたびに対価が入る4④ 値動き安く持ち高く手放す
しくみお金が入る理由主に要るもの
① 貸して受け取る自分が持っている(あるいは借りている)場所・物を、誰かに使わせる場所や物。それを整える費用
② 持っている資産から受け取る資産を保有していることに対して、配当や利息が支払われる元手となる資金
③ 作ったものから受け取る自分が作ったものが使われるたびに、使用料や権利の対価が入る作る時間と技能
④ 値動きの差で受け取る安いときに持ち、高いときに手放す元手と、判断を続ける時間

この4つは、性質がはっきり違います。

①は、手間が残ります。貸した相手がいるので、連絡も、整えることも、不具合への対応も発生します。そのかわり、元手が少なくても始められる形があります(自分で持っていなくても、借りたものを貸す形です)。

②は、手間がほとんど要りません。かわりに、入ってくる額が元手の大きさでほぼ決まります。少ない元手で大きな額にはなりません。

③は、最初に時間がかかります。作り終わったあとは手間が小さくなりますが、作っている期間は収入になりません。

④は、そもそも「不労」ではありません。判断を続ける必要があるので、手間が小さくならない形です。ここを不労所得の一覧に入れている記事は多いのですが、性質としては別のものだと考えたほうが、選ぶときに迷いません。

2つの軸で見ると、選ぶところが絞れる

元手と手間の2軸で置くと、空いているマスが無い手間が小さい手間が残る元手が要る② 資産から受け取る④ 値動きの差で受け取る元手は小さくてよい③ 作ったものから(作る時間が要る)① 貸して受け取る

4つを、元手の大きさと続く手間の大きさの2軸で置くと、こうなります。

手間が小さい手間が残る
元手が要る② 持っている資産から受け取る④ 値動きの差で受け取る
元手が小さくてよい③ 作ったものから受け取る(作る時間が要る)① 貸して受け取る

この表のいちばん大事な読み方は、空いているマスが無いということです。「元手が小さくて、手間も小さくて、額が大きい」という組み合わせは、4つのどこにもありません。

ですから、選ぶときに決めるのは「どれがいちばん良いか」ではなく、自分はどれを出せるのかです。出せるものが資金なら②、時間なら③、手間を引き受ける覚悟なら①になります。

税の扱いは、しくみごとに違う

ここは見落とされやすいところです。入ってくる額が同じでも、手取りは変わります。

CAUTION

20万円は収入ではなく所得です(収入から必要経費を引いたもの)。ここを収入で読むと、申告が要るかどうかの判断がずれます。

まず、給与をもらっている人が確定申告をしなければならない条件は決まっています。たとえば、1か所から給与を受けてその全部が源泉徴収の対象である人は、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えると申告が必要です。

出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)

20万円は収入ではなく所得です。収入から必要経費を引いたあとの数字で判断します。ここを収入だと思っていると、申告が要るかどうかの判断を間違えます。

①のうち、部屋を貸して受け取る形は不動産所得になります。計算は次のとおりです。

総収入金額 − 必要経費 = 不動産所得の金額

総収入金額には、賃貸料収入のほか、名義書換料・承諾料・更新料・頭金、返還が不要な敷金や保証金、共益費名目で受け取る電気代・水道代・掃除代が入ります。必要経費の主な例は、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費です。

出典:No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)(国税庁)

青色申告特別控除は、満たした条件によって金額が変わります。

  • ●55万円…不動産所得または事業所得を生む事業を営み、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳し、貸借対照表・損益計算書等を申告期限(翌年3月15日)までに提出する
  • ●65万円…55万円の要件をすべて満たし、かつ、仕訳帳と総勘定元帳を電子帳簿保存で備え付け保存している、または申告書類を申告期限までに e-Tax で送信している
  • ●10万円…上記に該当しない青色申告者

出典:No.2072 青色申告特別控除(国税庁)

「青色申告なら65万円」ではありません。e-Tax か電子帳簿保存が条件です。手取りで比べるつもりなら、ここまで含めて見ておく必要があります。

申告まわりの手順は初期費用は、何にいくらかかるのかと同じ流れで整理できます。

①のなかで、民泊はどこに入るのか

届け出た67,932件の、いまの内訳(令和8年9月15日時点)いま続いている43,037件届出住宅として生きている数やめた24,895件およそ3分の1

この媒体が扱っている賃貸型民泊は、①の「貸して受け取る」に入ります。特徴は2つあります。

1つは、自分で物件を持たなくても始められること。借りた物件を、承諾を得て人に貸す形です。②のように大きな元手が前提にならないのは、ここが理由です。

もう1つは、営業できる日数に上限があること。国内で民泊を営むには、旅館業法の許可、国家戦略特別区域法の認定、住宅宿泊事業法の届出のいずれかを選びます。届出で営む場合、宿泊料を受けて人を宿泊させる日数の上限は1年間で180日で、数える期間は毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までです。自治体の条例で、さらに制限されていることもあります。

出典:はじめに「民泊」とは(観光庁)/住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?(観光庁)

そして、続ける人と続かない人の数も公表されています。届出件数は累計67,932件、うち事業廃止は24,895件、いま届け出されている住宅は43,037件です(令和8年9月15日時点)。

出典:住宅宿泊事業法の施行状況(観光庁)

およそ3分の1がやめています。①は元手が小さくても始められるかわりに、手間が残り、やめる人も出る——表に書いた性質が、そのまま数字に出ていると読めます。

しくみのほうから知りたい方は民泊とは簡単に説明します|定義・仕組み・メリット・リスクを5分で理解する入門ガイド、持つ形との違いは不動産投資と賃貸型民泊は、何が違うのかをご覧ください。

選ぶ順番

種類を比べるより先に決めたほうがよいことが、3つあります。これを決めると、4つのうち2つは自動的に消えます。

  1. 1
    出せるものは、資金か、時間か、手間か。

    どれも出せないなら、いまはどれも成り立ちません

  2. 2
    いつまでに入り始めてほしいか。

    ③は作っている期間が収入になりません。急ぐなら候補から外れます

  3. 3
    やめるときに何が残ってよいか。

    残らなくてよいなら①の借りる形、残したいなら②や持つ形になります

そのうえで、候補が残ったら、最後は自分の数字で確かめます。一般論の表では、成り立つかどうかは出ません。

やめ方のほうを先に見ておきたい場合は、やめるときにかかる費用と、手順が参考になります。

よくある質問

いちばん手間が少ない種類はどれですか

②の「持っている資産から受け取る」です。ただし、入ってくる額が元手の大きさでほぼ決まるため、手間の少なさと額の大きさは同時に手に入りません。どちらを取るかという話になります。

元手がほとんどありません。始められる種類はありますか

①の借りて貸す形と、③の作る形は、大きな元手を前提にしません。ただし①は手間が残り、③は作る時間が要ります。元手が小さいぶんを、手間か時間で埋める形になります。

複数の種類を同時に始めてもよいですか

性質が違うので、同時に始めると、どれがうまくいっていないのか分からなくなります。とくに①は手間が残るため、他と並行すると対応が遅れます。本記事では、1つを決めて、入り方が安定してから次を考える順番をおすすめしています。

確定申告は、どの種類でも必要になりますか

必要になる条件は所得の金額などで決まり、種類で決まるわけではありません。上記 No.1900 の条件に当てはまるかどうかで判断します。種類によって所得の区分(不動産所得など)が変わるため、計算のしかたと使える控除が変わります。

まとめ

  • ●名前の一覧ではなく、しくみで4つに分ける。貸して受け取る/資産から受け取る/作ったものから受け取る/値動きの差で受け取る
  • ●4つ目は判断を続ける必要があるので、性質としては「不労」ではない
  • ●元手と手間の2軸で置くと、「元手が小さく、手間も小さく、額が大きい」マスは空いていない
  • ●決めるのは「どれが良いか」ではなく、自分が出せるものは資金か時間か手間か
  • ●税の扱いは種類で変わる。20万円は収入ではなく所得。青色申告の65万円は e-Tax か電子帳簿保存が条件
  • ●賃貸型民泊は①に入る。元手は小さくできるが、営業日数に上限があり、手間が残る

①が候補に残った方は、自分の条件で数字が合うかを先に確かめてください。一般論の表では、成り立つかどうかは出ません。

①が候補に残ったなら
  • 家賃・単価・稼働率を入れて、月いくら残るかを見たい
  • 年間の営業日数に上限があることを前提に計算したい
  • 一般論ではなく、自分が見ている物件の数字で確かめたい
この試算でできること
家賃・宿泊単価・稼働率などを入力すると、固定費を引いたあとに月いくら残るかを表示します。登録は要りません。相場の数値はこちらで用意していないため、ご自身が確かめた物件の数字を入れてお使いください。
収支シミュレーターで試す
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